サービス付き高齢者向け住宅の選び方(2) | 有料老人ホーム、高齢者・シニア向け住宅を探すなら、紹介センターウィルホームコンサルプラザ


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2021.02.17
高齢者施設

サービス付き高齢者向け住宅の選び方(2)

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)について解説する連載シリーズ、前回は「サ高住とは何か」をテーマにお伝えいたしましたが、第2回となる今回は、もう少し具体的に踏み込んでみたいと思います。

 

サ高住で「介護サービス」はどう利用する?

 

サ高住はそれ自体は介護サービスを提供しませんが、多くのサ高住では訪問介護やデイサービスなどの介護事業所を同建物内に併設しており、必要に応じてそれらの事業所と個々に契約して介護サービスを利用することになります。

介護保険の利用の仕方は、自宅でサービスを利用するときと同じです。毎朝自宅に来てくれるヘルパーの事務所が、または週に2日送迎付きで通っているデイサービスや、ケアプランを作成してくれるケアマネの事務所が、サ高住では同じ建物の中にあるというイメージです。

この介護事業所の大半は、サ高住の運営会社と同法人です。つまり運営会社はサ高住として家賃や管理費などの対価を受け取り、併設する介護事業所として介護報酬を受け取る図式となっています。

ちなみにこのサ高住での「介護保険サービスの利用」の仕方は「住宅型」有料老人ホームと同じです。住宅型有料老人ホームもほとんどの施設で訪問介護(ヘルパー)や居宅介護支援事業所(ケアマネ)が併設されており、住宅型有料老人ホーム自体は介護サービスを提供しません。

少しややこしいのですが、運営会社が提供する「住まい」(サ高住・住宅型有料老人ホーム)の中に、同じ法人が「介護サービス」を提供する訪問介護事業所を併設しているという図式が、サ高住と住宅型有料老人ホームの共通点ということです。

有料老人ホームの話題になりましたので、ここでサ高住との違いについても触れてみたいと思います。

 

サ高住と有料老人ホームの違い

 

〇入居契約の形式の違い

サ高住は賃貸住宅ですので、入居契約は借地借家法に基づく「賃貸借契約」です。借地借家法は(立場の弱い)借りる側に強い権利を付した法律です。このためホーム側の都合による退去には強い制限があります。

一方、有料老人ホームの多くで採用されている「利用権方式での契約」は、ひと言でいえば「居室1室と館内の共用部を利用する権利」を定める契約です。

たとえば…

入居後の入院について、有料老人ホームでは入院期間がおおよそ3か月を超える場合、退去の相談をさせていただくことがありますとしているところが多いのですが、これは入院期間が長期にわたると、入院期間中の介護保険収入が入らなくなるためです。入院期間が長引くとホーム側は減収となるので「ホームの都合」ということになるわけです。

サ高住ではこのようなホーム側の都合で入居者を退去させることができません。

また有料老人ホームでは入居後の身体状況の変化により「一定の観察期間を設け、入居者/身元引受人の同意を得た上で」という条件はあるものの、自立者フロアの3階から身体介護フロアの1階へといった居室の移動をホームから打診されることがありますが、サ高住の場合はホーム都合による居室の移動もできません。賃貸アパートの大家さんの都合で101号室から201号室に移ってくれと言われることがないのと同じですね。

ご本人・ご家族からの依頼の場合は、101号室の入居契約を解約し201号室の入居契約をあらためて締結することで対応が可能です。

〇月額利用料の内訳の違い

サ高住は「賃貸住宅」なのでアパートで独り暮らしするときと同じように、自炊するも良し※、スーパーやコンビニでお弁当を買ってくるも良し、宅配サービスを利用するも良しという前提ですから、月額利用料には三食の食費が含まれていません。「三食をサ高住にお願いしたい」という場合は別途食費がオプションで必要になります。

※サ高住では居室にキッチンを設けない場合、共用のキッチンを設けることになっています。

なおサ高住では食事の提供は義務付けられていませんから、食事つきを希望される場合は、オプションで三食の食事提供があるサ高住を選ばないといけないのは言うまでもありません。

一方、有料老人ホームの月額利用料には食費が含まれており、多くのホームでは館内の厨房で調理したものを提供しています。

〇居室設備の違い

これも「賃貸住宅」であることを念頭に入れると理解しやすいですが、サ高住では介護ベッドや家具、カーテンなどの居室備品は付いていないところが多く、居室の水光熱費も利用量に応じて別途請求するところがほとんどです。居室についているのは照明とエアコン程度ですね。

 

ディーフェスタ東大宮 素の居室
サ高住の居室例。右手前の収納と左扉のトイレは付いていますが、家具・カーテンのほかベッドも持込が必要です。

 

有料老人ホームでは住宅型と介護付で異なります。住宅型はサ高住と同じく照明やエアコン以外は何もついていないところから介護ベッドや家具も備え付けのところまで幅が広いですが、介護付の場合は「着替えと薬だけ持参すればとりあえず暮らせる」程度の設備は備え付けてあり、居室の水光熱費も管理費に含めるところが多くなっています。

トイレはサ高住では100%居室についています。有料老人ホームの場合もほとんどのホームで付いていますが、まれにトイレ・洗面ナシというところがあります。トイレなし有料老人ホームのほとんどは社員寮など企業の福利厚生施設をリフォームした「改築物件」です。

〇居室面積の違い

サ高住は基準として居室を25㎡以上とするルールがあるのですが、「キッチンと浴室を共用部に設ける場合は18㎡以上で良し」としているので原則18㎡以上です。

有料老人ホームの場合、前項の居室設備で触れた「改修物件」に多いのですが、居室面積が15㎡未満のホームもあります。改修物件は介護保険制度が始まった2000年代の始め、2005年くらいまでに開設されたところに多く、それ以降は有料老人ホームとして設計された新築物件が多くなります。新築物件には15㎡未満はほとんどなく、個室の場合は18㎡前後が平均値です。

なおこれは最小面積についての基準です。自立者向け物件ではサ高住でも有料老人ホームでも50㎡以上のものがあります。

 

ニチイホーム自由が丘 居室
有料老人ホーム(改修物件)の居室の例。左手前のカーテンの奥がトイレ、ベッドの手前に洗面台の一部が見えます。この居室で約13㎡です。

 

今回はサ高住で介護が必要になったときにどのようにサービスを利用するのか、また有料老人ホームとの違いについて解説してみました。

次回は「サ高住と介護付有料老人ホームの介護サービスの使い方の違い」を中心に解説したいと思います。

なお前回、今回と「サ高住(特定施設入居者生活介護)」にはあえて触れていません。話がややこしくなるからですが、これはあらためて次回、解説いたします。