前払金プランでの入居を検討される際の注意点
有料老人ホームの中には、入居時に数十か月分の家賃(またはその一部)をまとめて支払うことで、入居後の月額利用料(家賃)を下げられる「前払金プラン」を用意しているところがあります。
多くのホームでは「月払いプラン」も併設されており、入居時にどちらかを選択できるため、「どちらを選ぶべきか迷う」というご相談も少なくありません。
そこで今回は、前払金プランの仕組みと、選ぶ際に知っておきたい注意点を解説します。
「入居一時金」という呼び方が減った理由
以前は、この前払金を「入居一時金」と呼ぶことが一般的でした。
しかし一部のホームでは、その中に権利金や礼金に相当する返還されない費用が含まれており、早期退去時に返金されないといったトラブルが多発しました。
こうした背景から老人福祉法が改正され、
対価性のない金品(権利金など)を受け取ることは禁止されました。
現在、入居時に受領できるのは
「家賃、敷金、介護などのサービス提供の対価」に限られています。
このため、前払金の実態は家賃の前払い分となり、呼び方も「前払金」とするホームが増えています。
前払金プランの基本的な仕組み(メリット)
前払金は家賃の前払いです。
例えば、家賃が月10万円、償却期間が5年(60か月)のホームであれば、
10万円 × 60か月 = 600万円 を入居時に支払う
60か月以内に退去すれば、未経過分の家賃は返還されます。
また月額利用料からは家賃分の10万円が差し引かれるため月々の支払額を抑えることができる…
という仕組みになります。
そのため、
「前払金は一度払ったら戻らない」というわけではありません。
半年で退去すれば、残りの4年半分に相当する家賃は返還対象になります。
また、60か月を超えて居住した場合でも、
追加で家賃を支払う必要はありません。
結果として、長く住めば住むほど月額負担が軽くなる、という点が前払金プランの大きなメリットです。
前払金プランの注意点(デメリット)
ただし、多くのホームではこの仕組みに加えて
「初期償却」が設定されています。
これは、
「想定居住期間(=償却期間)を超えて契約が続く入居者の家賃に充てるため」
として、前払金の一部を最初から返還対象外とするものです。
例えば、
家賃10万円 × 60か月 = 600万円
これに初期償却分として150万円を加え
前払金総額:750万円(初期償却20%)
と設定されている場合、
30か月で退去しても
→ 返還されるのは 300万円
半年で退去しても
→ 未経過分から 150万円が差し引かれる
ということになります。
このように、償却期間を満了できなかった場合には、
「前払金プランより月払いプランの方が結果的に安かった」
というケースが生じる可能性があります。
これが、前払金プランを選ぶ際に必ず理解しておくべきリスクです。
まとめ
つまり前払金プランを選んだ方が良いケースというのは
・入居時に前払金プランで設定された額を一括で用意でき、
・ホームの定める償却期間をマットウできる自信のある方で、
・月の支払額をできるだけ抑えたい方
…ということになります。
この先何年ホームで暮らせるのかは誰にもわかりません。93歳で入居して10年過ごす方もいれば、70代で入居しても体調を崩されるなどして、またはご逝去されて数年で退去される方もおられます。ただ、ひとつの目安にはなるのではないかと思います。
(ご参考までに)
要介護の方を主に入居対象としているホームでは、償却期間を4年~6年程度で設定しているホームが多いですが、この期間をマットウすることを考えたとき、60代~70代前半の方であればさほど高いハードルではないですよね。
ホーム側から見れば償却期間を超えて契約が継続する入居者は、「リスク」※でもあるわけですから自衛のための対策として「前払金プランを選択できるのは○○歳以上の方に限ります」という条件を付けるホームが増えてきました。
※入居時に60か月分しか家賃をいただいていないのに、その後も月額利用料も変わらないということは、ホーム側から見れば「61か月目以降の家賃はいただきません(当方でその後の家賃は負担いたします、」ということになります。これがホーム側から見た「リスク」ということになります。
なお○○の年齢はホームによって75歳以上だったり80歳以上だったり、様々です。


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