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2015.11.20

入居金が高い有料老人ホームの方が安心?!(最終回)

同じ有料老人ホームでも入居金や月々の費用に大きな違いがあるのはどうしてなのか…をテーマに綴ってきたこのシリーズですが、最終回となる今回は、建物にスポットを当ててみたいと思います。

新設と改修の違い

有料老人ホームの中には新設ではなく、企業の社員寮や研修・保養施設だった建物を改修(リフォーム)しているものがあります。更地にイチから建設するのに比べて工事期間が短くて済み、コストは新設より抑えることができるため、料金を低額に設定することができます。

改修物件とはいえ、スロープによる段差解消や手すりの設置などのリフォームがなされており、建物自体も景気の良かったバブル期にしっかりお金をかけて建てられ、外観も洒落たものが少なくありません。

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改修型ホームのエントランス。玄関までの階段にその名残が見えますが、向かって左側にスロープが設けられています。

この改修型ホームを上手に選択肢の中に取り込んで検討することで、ホームを評価する幅や視点に広がりが持てるのではないかと思います。

改修型ホームを見学するときの注意点

費用が低額に設定されているところの多い改修型ホームですが、見学のときにはいくつか注意点があります。

・適切なリフォームがなされているか

企業の独身寮だったホームは、元々昼間働いた社員が夜、帰って過ごすために作られたものです。つまり建てる段階からそのような目的に沿って設計されているということになります。

例えば居室の扉が重い金属製の開き戸のままで、引き戸に改修されていなければ力の弱い高齢者や車いす利用の方にとっては使いづらいということになります。扉については、全室引き戸に改修するコストのこともあって開き戸のままのところが結構あります。身体状況にもよりますが注意した方が良いでしょう。

・食堂はほとんど1か所…だとするとエレベータの数とサイズは?

社員寮や研修施設で、各階ごとに食堂を設けているところはまれでしょう。そのような建物を改修して建てられたホームもやはり食堂は1か所しかないところが多いということになります。新設の有料老人ホームでも食堂が1か所というところはありますが、問題はエレベータ。数とサイズには注意が必要です。

日生オアシス吉川 2階フロアマップ
新設の高齢者ホームではこのようにL字型のフロア設計がよく見られます。

食堂が1か所ということは、3食の食事の際、食堂のある階以外の入居者はエレベータを使って移動することになります。大半の改修型ホームでもエレベータはストレッチャーがそのまま入れるよう、大きなサイズのものに替えられていますが、物理的な問題から充分なサイズのものを導入できないケースもあります。

ニチイホーム板橋徳丸 エレベーターホール
新設ホームの中には、各階に食堂スペースを設けていてもエレベータを2基設置しているところが結構あります。点検の時なども融通しやすいですよね。

また入居者の中には車椅子を利用している方もおられます。定員12名程度の少し大きめのエレベータでも、車いすの方が利用すれば介助のための職員が一人だとしても4台程度が精一杯でしょう。つまりこの時間帯、エレベータが大変混みあうのです。フロアの数が多ければなおさらですね。

・死角への対策はどうか

新設のホームでは死角を解消するために直線型や、角にステーションを設置してのL字型のフロア設計を採用するホームが多くなっていますが、改修物件の中には、プライバシー確保のためやデザイン重視の設計から、死角ができやすい構造になっているものもあります。

死角が多ければ廊下での転倒など、入居者の危険に職員が気づくのが遅れたり、曲がり角などでの「出会い頭事故」も増えます。

 

このようなリスクを未然に防ぐための対策が、特に改修型ホームでは必要となります。人員を多く配置したり、館内の巡視をルールを定めた上で適切に実施するなどの対策が取られているかどうか、確認すると良いでしょう。

費用以外にも改修型ホーム選ぶ理由はあります

改修型ホームは、介護保険制度が施行された2000年4月以降、2000年代中盤までに建てられたものが多く、2015年現在、開設から10年以上経過したところが多くなっています。

建物構造上の問題をどうしたら解消できるかを考えながら、さまざまな身体状況の入居者のお世話をし、どうしたら入居者に喜んでいただけるか職員一同で知恵を絞り、入居者や家族からの苦情や意見に対応してサービス向上に努める…といった経験や実績は一朝一夕の間に積み重ねられるものではなく、ホームにとっては財産ともいえるものです。

また周辺の新設競合ホームとの競争力強化のため、介護職員を手厚く配置したり、看護職員を24時間体制としたり、専任の機能訓練指導員を常勤で配置してきめ細やかなリハビリを提供したりといった人的体制を充実させているところもあります。

シリーズ全体のまとめ

有料老人ホームの評価は入居金の高低によって決まるわけではありません。ホームによって費用に違いがあるのは…

(1)入居対象による違い

お元気な方を主対象にしたホームと、要介護の方を主対象にしたホームとでは居室の広さや設備、娯楽系共用設備など求めるものが異なります。これが入居時費用や月額料金の差となって表れます。

(2)職員体制による違い

介護付有料老人ホームで定められている職員配置基準を上回る介護・看護職員配置や看護職員の24時間常駐など、職員体制の手厚さによっても費用に差が出ます。特に介護職と比べて人件費の高い看護職員の24時間常駐は、費用差の大きな要素といえます。

(3)新設と改修の違い

更地にイチから建てる新設のホームと比べ、企業の社員寮などで使われていた建物をリフォームしたホームは工事期間が短く、建築費も低額で済むため、入居金を安価に抑えられます。有料老人ホームとして設計された建物ではないため、見学時にはいくつかチェックポイントがありますが、長年の運営実績や施設としての経験が豊富なホームも多く、「新設でないから」という理由で改修型ホームを選択肢から外してしまうのはもったいないです。上手に選べば快適に安心して住まうことのできるところもあるのです。

有料老人ホームを評価する視点は一つではありません。

多種多様な有料老人ホームが開設され、選択肢が増えたのは選ぶ側にとって良いことですが、どこを選んだらよいのか、かえって難しくなったともいえます。

どうぞお気軽にご相談ください。ご来社や当方からの訪問による面談のほか、お電話やメールでもご相談を承っています。よろしくお願いいたします。