有料老人ホーム 入居までの流れと注意するポイント
有料老人ホームなどの高齢者施設に入居するまで、いったいどれくらいの時間が必要なのでしょうか。私たちウィルホームコンサルプラザにご相談に来られる方は、お問い合わせをいただいてからご入居まで平均すると約40日かかっています。結構かかるものだな…とお感じの方が多いかもしれませんね。順を追って入居までの流れを説明しつつ、注意するポイントについても触れたいと思います。
まずはお問合せ・資料請求から
―インターネットを利用しての問合せも便利―
どこにどんな有料老人ホームがあるのか、入居金や月額費用はどれくらいかかるのか…などを調べるのに便利なのがインターネットの活用です。ご希望の地域があるようなら「有料老人ホーム ○○市」、ペットと一緒に住めるホームをお探しなら「ペット可 有料老人ホーム」などで検索すると該当する有料老人ホームのページがヒットします。
最近は大半の有料老人ホームでホームページを持っており、費用や場所、特徴などを確認することができます。お問い合わせの電話番号やメールアドレスなどが載っているほか、ホームページから直接資料請求ができるところも多いので利用してみると良いでしょう。
確認する点としては…
・電話での応対やメールでの返信などの対応がしっかりしているかどうか(言葉遣い、依頼した方法で返事があるかなど。メールで答えてほしいと伝えたのに電話がかかってきたり、相談がある時はこちらから連絡すると伝えているのにDMや電話でコンタクトを取ろうとするなど)
・問い合わせた内容にきちんと答えられているか(質問した内容についての回答が曖昧だったり答えられないなど)
をチェックしてみて下さい。
見学先のホームを選びましょう
いくつかの有料老人ホームから資料が届いたら、その中で気になるところへ見学に行ってみましょう。予算や立地、居室の面積や自宅からのアクセスなど「数字で表せる情報」はパンフレットでおおよそ把握することができます。見学先を選ぶときに気を付けることをまとめてみました。
・パンフレットは広告。豪華さなど見た目に惑わされない
有料老人ホームにとってパンフレットは広告です。売りになる特徴は大きく、他所より劣っている点は書いてなかったり別紙参照になっていたり小さく書かれていたりするものです。また豪華な装丁を施した立派なパンフレットを作る費用は、入居者からの前払い金や月額料金から捻出されていることを考えれば、そのまま判断材料にするのは控えた方が良さそうです。
・重要事項説明書で確認するのも一つの方法
パンフレットを送ってもらう時に「重要事項説明書」も一緒に送ってくださいとお願いしてみるのも良いでしょう。インターネットでも「(有料老人ホーム名) 重要事項説明書」で検索すると結構ヒットします。見方には一部知識を必要とする箇所もあるのですが、例えば作成時点での入居率や要介護度別・年齢別の入居者数など原則同じひな形で異なる有料老人ホームの比較ができます。
見学に行ってみましょう
見学に際しても気を付けておきたいことがいくつかあります。
・必ずアポイントを取って行きましょう
館内を案内してくれる相談員さんは、複数の施設案内を掛け持ちしていることがあり、不在だと適切な説明を受けることができないこともあります。またできれば施設の責任者である施設長(ホーム長・支配人などホームによって名称は異なります)がいらっしゃる日に見学に行くと良いでしょう。
・昼食の時間に合わせて行きましょう
事前に予約すれば(だいたい2~3日前の予約で大丈夫です)昼食は無料で試食させてくれるところが多いです。味をしっかり確認することも大切ですが、昼食の時間に合わせて有料老人ホームを見学する一番の理由は「ご入居者、スタッフの様子を一番確認しやすい時間帯」だからです。
・質問したいこと、確認したいことを事前にまとめておきましょう
これはなかなか難しいのですが、ただ漫然と有料老人ホームを見学しても、「きれいだな~」、「やっぱり女性の入居者が多いな~」などぼんやりとした感想になりがちです。費用のこと、受入基準のこと、退去となる場合がどんなときか…など項目別にまとめられると有意義な見学ができます。もちろんどこを重視するか、有料老人ホームにどんなサービスを希望するかによってこの項目の数や種類、優先順位は変わります。
・見学は複数のホームに行きましょう
ひとつの有料老人ホームだけを見学して入居を決めてしまうのはとても危険です。最初に見学した有料老人ホームを気に入った場合も、できれば他のホームを見るようにしましょう。2件目の有料老人ホームに見学に行くときは、1件目の有料老人ホームが評価・判断するときの物差しになります。また一度見学したホームへ再度日を変えて、一緒に行く人を変えて見学するのも良いでしょう。
・「仮申込」を上手に使いましょう
有料老人ホームを見学してまずまず希望条件に合うなと思われたときは、「仮申込」ができるか聞いてみましょう。多くの有料老人ホームでは10日から2週間程度、申込金やキャンセル料の一切かからない「仮申込」ができます。他の有料老人ホームも見てから決めたい、だけどこのホームは候補として押さえておきたい…という時に便利です。
ホームを決めるにあたって
いくつかの有料老人ホームを見学し、希望条件に沿って比較し、疑問点が解消されたら決断のタイミングです。ただホームに入居の意思を伝えたらその日から入居できるわけではありません。
有料老人ホームに入居の意思を伝えると、入居申込書と、健康診断書・診療情報提供書の提出を求められます。入居申込書はご本人またはご家族が記入するものですが、健康診断書・診療情報提供書はかかりつけの医師に作成してもらうものです。現在のお身体の状況や既往歴、服用しているお薬のほか、感染症の有無を血液検査によって確認します。この作成を医師に依頼してから書面が出来上がるまでにおおよそ10日から2週間程度かかります。この書面とご本人への面談(アセスメントといいます)によってホームは入居審査をすることとなります。審査結果は面談日から数日程度で下りることが多くなっています。
例えば月初めに入居の意思を伝えたら、健康診断書類が医師からあがってくるのが中旬、有料老人ホーム職員によるご本人への面談によって入居審査の結果がおり、入居契約・ご入居となるのは月の下旬…といったイメージです。
ご家族の都合等で動ける日が週末など限られる場合、さらに入居日が延びることもあります。入居申込の段階で、おおまかなスケジュールを立ててもらうよう有料老人ホーム側に依頼すると良いでしょう。
まとめ
以上、お問合せから入居までの流れを追ってみました。結構やることが多く、大変なことだとお感じになられたのではないかと思います。ざっと抜き出してみても以下のような問題があります。
○お問合せ時
・希望条件に合ったホームをもれなく探し出せるか
○資料請求・見学先選定時
・興味のある有料老人ホームごとに問合せて、資料請求する手間
・届いた資料を見て適切な比較ができるかどうか
◎見学時
・見るべきところ、確認すべきところをしっかり押さえられるか
・確認項目に基づいた適切な比較ができるかどうか
・サービス内容と費用を相場を踏まえて評価・判断できるかどうか
・体に不自由のある本人も連れて見学したいが公共交通機関での移動が不安…
◎決断から入居まで
・疑問点の洗い出しと確認が過不足なく行えるかどうか
・入居日をできるだけ前倒ししたい場合ホームに交渉できるか
・提出書類に漏れはないかの確認、入居までのスケジュール調整…
といったことを慣れないご本人やご家族が行うのは思った以上に大変な作業です。次回記事ではそのような方のための「有料老人ホーム紹介センター」について解説してみたいと思います。
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