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ウィルホームコンサルプラザのブログ

2016.03.16

私たちが見学のときに確認していること(8)

10回シリーズの第8回となります。今回の質問は…

 

入浴はどのように行われていますか?

です。

「3大介護」のひとつ

介護保険法の第一条(目的)に「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理そ の他の医療を要する者等について…」と ある通り、入浴、排せつ、食事等の介護は、要介護の方が人間らしい日常生活を送るために最も重要な要素で、3大介護と呼ばれています。

3大介護の中でも特に排せつと今回のテーマである入浴はその性格上、見学をすることが難しいのでその分、どのようにサービスが提供されるのか、しっかりと確認する必要があるのです。

浴室もしっかり見学しましょう!

浴槽はホームによって複数のタイプがあります。特にお一人での入浴が難しい場合、どのような浴槽でどのようにお手伝いをしていただけるのか、実際現地を見学するとイメージが湧きやすいでしょう。

お昼の時間に合わせて見学することをお勧めしているのは過去の記事でもご紹介していますが、昼食時は入居者が食堂に集まるため、浴室が使われておらず見学がしやすいという利点もあります。ご自宅にお住まいだと入浴は夕食の前後や就寝前になさる方が多いと思いますが、有料老人ホームなどの高齢者施設では、午前中から食事の時間を除き、びっしり半日浴室が使われていることもあります。

ヒートショックと滑り防止対策

脱衣室・浴室ではヒートショック対策が取られているかどうかも確認したいポイントです。脱衣室が寒ければ服を脱いだ時や浴室から出た後に温度差で心臓に負担がかかります。脱衣室にはエアコンが備え付けられているところが大半ですが、エアコンが古かったり脱衣室が大きいと暖まるまでに時間がかかります。

また浴室や脱衣室の床は滑って転べば大きな事故につながります。乾きやすく滑りにくい床材を採用しているかどうか、適切な箇所に手すりが設置されているかどうかなども確認するようにしましょう。

浴室まわりは新設と改修の差が出やすい

浴室の入り口から脱衣室まで高低差があり、スロープになっているホームがあったら、そこは企業の社員寮や研修施設などをリフォームした改修型のホームです。もともと浴室でないところを浴室にすると、配管を床下に通す分、床面を上げなくてはならず、高低差が生まれます。広さに余裕があればスロープを長くとって斜度を緩やかにできますが、そうでない場合、急なスロープになりがちです。

そのようなホームでは、事故を未然に防ぐためにどのような対策が取られているか、車いすの方をどのようにご案内しているのかなどを確認すると良いでしょう。ちなみに新築のホームでは、設計段階から床下に配管しているので廊下から浴室まで段差のない造りになっています。

浴槽の種類と使い方もチェック!

浴槽は大きく分けて3種類に分かれます。

・お一人づつ入浴する個浴槽(ユニットバスのイメージ)

CS新井薬師さくらの森弐番館 1階個浴室
個浴槽。可動式の手すりや、浴槽自体を左右に移動できるタイプもあります。

・何人かづつ入浴する大浴槽(小さな銭湯のイメージ)

▲1階にある少し広めの浴室です。各階にはお一人用の浴室もあります。
大浴場。ゆったり入ることができます。

・座位を保つことが難しい方向けの機械浴槽

CS新井薬師さくらの森弐番館 1階機械浴室
こちらは寝台型の機械浴槽。他にもいくつかタイプがあります。

個浴槽の中にはヒノキやヒバなどを用いたものがあったり、浴槽をまたぐことが難しいけれど座位を保つことはできるという方向けに個浴槽と機械浴の「中間浴槽」もあります。また機械浴槽にも寝たまま入れるものや、専用のシャワーチェアで座った状態を保ちながら入浴するタイプのものなどいくつか種類があります。

グランダ王子 個浴5基のうち1基はヒノキ浴
ヒノキ浴槽。いい香りがして落ち着きます。

複数の浴槽を持っていても、たとえば「個浴槽は介助不要で一人で入る方向け」としているホームでは、座位が保てる要介助の方は大浴場を利用いただくということになります。それぞれの浴槽をどのように使っているのか、よく確認する必要があります。

機械浴槽の利用者はどれくらい?

機械浴槽がないホームもありますが、多くのホームでは用意されています。前述のとおり浴槽内で座った姿勢(座位)を保つことができるかどうかが機械浴槽利用のひとつの目安です。入居者の平均要介護度と合わせて、機械浴槽を利用している入居者のおおよその人数を聞くと、平均的な入居者像がイメージしやすいですね。

安全で快適な生活のために

厚生労働省の人口動態統計によると、平成26年の家庭での浴槽での溺死者数は4,866人で、平成16年と比較すると10年間で約1.7倍に増加しているそうです。このうち約9割が65歳以上の高齢者で、特に75歳以上の年齢層で増加しています。また救急車で運ばれた患者数から推計した入浴中の事故死の数は、年間約19,000人(死因が溺水以外の疾病等と判断されたものを含む)にのぼるとされ、こちらも恐らく大半は高齢者であろうことを考えると、高齢者の死因として無視できない数となっています。

ホームに入居するということは、この「入浴リスク」を回避することにもつながりますが、不幸にして有料老人ホーム内での入浴中に施設対応の不備から入居者が事故死されたニュースもありました。安全で快適な生活をホームでお送りいただくためにも、見学時にはしっかり入浴についても確認するようにしましょう!

今回はこのあたりで。次回第9回は「お食事」をテーマにお話してみたいと思います。