重要事項説明書の「読み方」講座(9) 利用料金(後編) | 有料老人ホーム、高齢者・シニア向け住宅を探すなら、紹介センターウィルホームコンサルプラザ


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2016.12.28

重要事項説明書の「読み方」講座(9) 利用料金(後編)

前回は前払金について解説しましたので、今回はその次に記載されている月額利用料について見ていきたいと思います。

家賃・管理費・食費がベースではありますが…

有料老人ホームの月額利用料は、家賃・管理費・食費がメインの費目です。パンフレットや料金表にもこの3つの合計金額を「月額利用料」としているところが多いのですが、重要事項説明書にはその取扱いや明細についても記載されています。よく読んでいきましょう。

家賃は、「近傍同種の賃貸住宅の家賃相当額」を基準に、面積・定員・初期投資額等を考慮して設定されています。また家賃は非課税となっていますので、家賃の欄に「税抜」や「税込」などの表記があったら「おかしい」と思ってください。この家賃についてはさほど大きなチェックポイントはありませんが、問題は次の「管理費」と「食費」です。

管理費の内訳はホームによって結構違います

共用部分の維持管理費や光熱費(いわゆる「共益費」的な内容)のほかに、管理部門に係る職員の人件費、居室の水光熱費などを管理費に含めているホームもあります。前者の共益費に相当する分は、国税庁のサイトなどを見ても「非課税」とされているのですが、後者は逆に課税対象になっており、有料老人ホームの月額料金としては管理費を消費税の課税対象としているところが多くなっています。

居室の水光熱費は、管理費に含むことによって月ごとの支払額が一定になるのはメリットといえますが、ホーム側からすれば「いくら好き放題電気を使われてもこれだけ徴収しておけば…」という額を設定して管理費としているはずなので、あまり居室で電気を使われない方にとっては「個別でメータを付けて実費徴収」の方が安上がりだったというケースもあるでしょう。居室に浴室やキッチンがあり、それらを入居者が常時使用する前提のホームでは、実費徴収型がほとんどです。

食費は「欠食時の精算方法」を確認

食費は一日3食を30日まるまる召し上がったときの費用としているところが多くなっています。重要事項説明書では、朝食○○円、昼食△△円…というように一食ごとの単価も記載されています。ただ朝昼夕3食の単価合計×30日分で計算しても、食費と数字が合わないことがあります。これは過去の記事でも取り上げましたが、「食費=食材費+厨房管理費」としているホームがあるためです。(参照:有料老人ホームの費用を実践的に考える(1)食費編

Rまどか川口本町 昼食試食(レオック社)
有料老人ホームでの食事例(本文記事とは直接関係ありません)

また家族や友人と外食や外泊されることになったとき、一食ごとの単価に基づいて欠食分を差し引いてくれるホームもあれば、減額が一日単位になっていて3食のうち1食でも喫食した場合はまるまる一日分の費用を請求されるところもあります。このあたりも重要事項説明書に「食事をキャンセルされる場合の取り扱いについて」という項目に明記されていますのでよく確認しておきたいところです。

なお入院などでホームを空けている期間も、家賃と管理費は全額、食費も喫食分のほか前述の「厨房管理費」を挙げているホームではその金額もかかります。入院中の病院に支払う費用とは別に掛かるわけですから大きな負担です。特に食事は、入院等でホームを空けることが多くなって初めて「欠食したときの取り扱い」に気が付いたというケースも少なくありません。

生活サポート費?

家賃・管理費・食費のほかに、要介護認定で主に「非該当(=自立)」と判定された方を対象に「生活サポート費」を徴収するホームもあります。これは、「自立」の方からは介護保険の報酬がホームに入らないことによるもので、その分を入居者から直接徴収するための費用です。

入居時の要件が「自立・要支援・要介護」となっているホームでも、自立の方については「生活サポート費」(名称はホームによって異なります)がかかるところが実は多いので注意が必要です。

介護付有料老人ホーム(介護保険上は「特定施設入居者生活介護」といいます)の場合、自治体によって、また加算の状況等によって若干の差はありますが要支援1の方で介護費用(限度額)は60,000円程度です。自己負担割合が1割の方だと月額6,000円程度の負担となるわけです。

生活サポート費はこの60,000円前後をベースに設定されていることが多くなっています。つまり要支援1の認定結果が出た自己負担割合1割の方は、介護費用60,000円のうち1割の6,000円が自己負担となり、残りは保険を利用することでサービスが受けられるのですが、「自立」の」方は介護保険の利用ができないため、その分は自己負担してください…ということです。(ホームによってはこの生活サポート費が月額10万円を超えるところもありますし、2~3万円というところもあります。)

逆に「要支援1」で入居され、6,000円の自己負担で介護サービスを利用していた方が入居後に「自立」の判定を受けたとき、生活サポート費を徴収しているホームでは、自己負担額が大幅に増えることがありますので注意してください。

この「生活サポート費」についても重要事項説明書には記載されていますが、見学のときには、入居後に自立と判定された場合の月額費用がどうなるか、あらためてしっかりと確認すると良いでしょう。

契約終了時の返還金の算定方法

入居時に前払金を支払って入居した場合、一定のルールに基づいて前払金の一部が返還されることがあります。そのルールを示したものが「返還金の算定方法」に記されています。過去の記事でも取り上げました(有料老人ホーム選びの落とし穴(1) 入居金についての「落とし穴」)が、前払金と初期償却額、償却期間によって算定されることとなります。

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前払金から初期償却額(これは取らないところもあります)を引いた額が「返還金の対象額」で、償却期間内の退去の場合に限り、未償却分が返還されるという図式です。償却期間が短いと、前払金が全額償却されてしまう期間が短いということになりますし、初期償却額が大きいと、「返還金対象額」自体が小さくなってしまいます。

保全措置

前払金は前項で説明したとおり、入居者側にとって「将来返還されるかもしれない」額ですが、運営会社の経営難などで返還されなくなってしまうことを防ぐために保全措置を講じることが、原則として平成18年4月以降に開設されたホームには義務付けられています。(それ以前に開設されたホームについては「努力義務」)

必要な保全措置については以下の4つのいずれかとなっています。

(1)銀行等との連帯保証委託契約

(2)保険事業者との保証保険契約

(3)信託会社等との信託契約

(4)公益法人との保全契約で、(1)~(3)に準じるものとして都道府県知事が認めたもの

注:以前は「親会社による保全」も保全措置のひとつでしたが、2012年4月以降、この措置については廃止されています。

重要事項説明書には、平成18年4月以降に開設されたホームについては必ず、上記4つのうちのどれかが保全措置として記載されています。またそれ以前に開設されたホームの中にも自発的に措置を講じているところもありますが、多くは平成18年3月以前の開設で保全措置義務の対象外であることを理由に保全措置を講じていません。

保全措置の対象拡大については入居者保護の観点から厚生労働省の社会保障審議会・介護保険部会などでも提案されていますが、前払金での有料老人ホーム入居を検討しておられる方は、しっかりと確認しておきたいポイントです。

さて今回は少し長くなりましたがこのあたりで。次回は年明けの更新で最終回、全体のまとめといたします。