重要事項説明書の「読み方」講座(6) サービスの内容(後編) | 有料老人ホーム、高齢者・シニア向け住宅を探すなら、紹介センターウィルホームコンサルプラザ


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2016.12.14

重要事項説明書の「読み方」講座(6) サービスの内容(後編)

さて6回目となる今回は、前回に引き続き「サービスの内容」項目について残りの部分をみていきます。

前回触れた協力医療機関についての記載項目の後、介護付有料老人ホームであれば「介護保険加算サービス等」という表が載っています。住宅型有料老人ホームでは前回の記事でご紹介したとおり、有料老人ホームそれ自体が介護保険サービスを提供しませんので、加算する「元」のサービスがないわけですね。

介護付有料老人ホームの提供するサービスは、介護保険上の分類では「特定施設入居者生活介護」にあたります。入居者の身の回りのお世話を、要介護度別に「まるごとひっくるめて」定額で提供するサービスです。ここで触れる「介護保険加算サービス等」とは、この特定施設入居者生活介護サービスに、一定の条件をもって加算することができる項目となっており、いくつかの種類があります。主な加算サービスは以下のとおりです。

介護保険加算サービスの種類と概要

 

個別機能訓練加算

常勤の機能訓練指導員として理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のほか、看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師を配置することで加算することができます。リハビリに注力しているかどうかのひとつの目安となっています。

なお平成25年度老人保健健康増進等事業「有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究」によると、介護保険制度がスタートした平成12年から平成17年までに開設したホームの個別訓練機能加算の取得率が25.1%なのに対し、平成24・25両年に開設したホームの同加算取得率は30.4%と増えています。私たちの実感でも機能訓練スタッフを専任で配置してリハビリに注力するホームは増えています。

夜間看護体制加算

常勤の看護師を1名以上配置し、看護職員または病院等との連携により24時間の連絡体制と健康管理体制を確保していることが条件となっています。また入居者の要介護状態が重度化した場合の指針を作成し、説明することも求められています。必ずしも24時間看護職員を常駐させる必要はありません。

看取り介護加算

看取り介護サービスを提供する場合に加算できます。上記「夜間看護体制加算」を取っていることが一つの条件となっています。介護計画を作成し、ホーム・ご家族・協力医療機関の三者が連携して円滑な看取り介護を提供できる体制を加算として評価するものです。死亡日以前30日前~4日前から算定でき、前日・前々日と死亡日当日は単位数が高くなっています。

医療機関連携加算

夜間看護体制加算と並び、介護付有料老人ホームではよく取られている加算です。看護職員による健康状況の記録と、協力医療機関等に対する月1回以上の情報提供が条件です。看護師の常駐と協力医療機関との契約は、介護付有料老人ホームの設置届の際に必要ですから、加算を取りやすいのだと思います。

介護職員処遇改善加算

平成21年度に創設された「介護職員処遇改善交付金」をベースに、平成24年度に介護報酬として新設された加算です。その名のとおり賃金や職場環境など介護職員の処遇を改善する目的で創設されました。

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加算の条件にはキャリアパス(キャリアアップのための道筋)要件などを満たす必要がありますが、前制度である処遇改善交付金と違い、加算という枠組みの中に入ったことで利用者もその一部を負担する点は交付金制度との大きな違いです。なおこの加算によって支給された全額はすべて介護職員に還元されることが義務付けられています。

入居にあたっての留意事項

分量が多い「サービスの内容」欄ですが、介護保険加算に関する項目の後に出てくるのが「入居にあたっての留意事項」です。入居対象(自立から入居可?要介護認定で要介護1以上が対象?)や、身元引受人に関する事項(身元引受人の義務など)といった契約書からの抜粋項目が並びます。

やむを得ず身体拘束を行う場合の手続き

有料老人ホームでは原則として身体拘束を行いません。「原則として」とあるのは例外があるからですが、重要事項説明書には、「やむを得ず身体拘束を行う場合の手続き」という欄が設けられています。

もし重要事項説明書の試験があったとしたら、先生が「ココ出るぞー」というのがその3つの例外で、「切迫性」、「非代替性」、「一時性」とされています。

身体拘束を行わないことにより生命または身体が重大な危険にさらされる可能性が高いというのが「切迫性」、身体拘束その他の行動制限以外の手段で介護を提供することができない事態を「非代替性」、この身体拘束があくまでも一時的な手段であることが「一時性」の意味となります。おそらくほとんどのホームの重要事項説明書でこの3つの例外が掲載されていると思います。過去に該当する事例があったかどうか、またその事例時の状況などを伺ってみると良いでしょう。

住み替え事項と事業者からの契約解除

入居したときの居室から、利用権の対象居室が移る可能性について記載しているのがいわゆる「住み替え事項」といわれるもので、重要事項説明書には「要介護時における居室の住み替えに関する事項」として記されています。これは身体状況によるフロア分けをしているホームで比較的よく見られるのですが、ご入居時に比較的お元気な状態で入居された方が、ご入居後に医療的な措置を多く受けられるようになったり、認知症の症状の進行等により今までどおりのご生活を継続することが困難になられた場合などに、身体状況の近い方がお住まいのフロアに移動するというものです。

当該フロアに空室がないと移動できませんし、移動することでより混乱される方もおられるので、心身状況だけをみて機械的に行えるものではありませんが、移動となるときの定めについて、たとえば居室ごとに入居金や家賃などが異なる場合、移動によってどのような費用の清算手続きが必要なのかなどについても触れられています。

入居金不要、居室の家賃も全室同じというホームの場合は、移動による費用面の上下はありませんが、たとえば「認知症が重度化した」という理由で、陽当たりもよく気にいっていた上階の居室から、窓を開けても隣の住居の壁しか見えない北側の居室へ、ホーム側だけの判断で移動させられてしまっては困りますよね。

居室の移動については、(1)本人及び身元引受人等の同意を前提に、(2)協力医療機関の医師からの意見を聴き、(3)一定の観察機関を設けるもの…となっていますが、運用はホームによっても異なります。直近の居室移動事例や件数などを見学の際に伺ってみると良いでしょう。

事業者からの契約解除

ホームから「ご退去ください」と言われるのはどういうときか、記載されているのが「事業者からの契約解除」欄です。いくつかの項目が並んでいますが、まとめると(1)月々の費用支払いが一定期間滞った場合(2)入居時に虚偽の内容を伝えるまたは申告すべき事実を告知しないなど不正な手段で入居した事実が発覚した場合(3)入居者・身元引受人・返還金受取人が反社会勢力に該当するまたは関与が認められることが発覚した場合(4)ホームの職員体制では対応できない看護行為を必要とする状態となったとき…に大別できるかと思います。

(1)~(3)については特記することはないのですが、(4)はよく確認する必要があります。有料老人ホームは医療機関ではありませんので、常時医療行為を必要とされる身体状況となったときには病院での受診や場合によっては入院が必要となりますが、退院後の身体状況によってはホームに戻ることができないケースも出てきます。

看護職員が24時間体制で常駐しているホームと日勤帯のみ常駐のホームでも違いますし、協力医療機関との提携の内容によっても異なります。スタッフの経験量によっても対応が変わることがあります。

「医療行為等受入表」といった書面で、胃ろうは「〇」、たん吸引は「△」、筋委縮性側索硬化症は「✕」などと明示しているホームもありますが、状況等によっては受け入れの可否が変わることもあります。よく確認しておきたいポイントです。

 

苦情の窓口

また入居後の苦情や意見を伝える窓口についても「サービスの内容」欄のいちばん下に記載されています。運営会社の苦情対応窓口のほか、当該区役所の介護保険課、国民健康保険団体連合会(国保連)の苦情専用窓口や、協会加盟ホームであれば「全国有料老人ホーム協会」などの連絡先が記載されています。親御様など入居者が不利益を受けることを心配されたりなど、直接ホームに苦情を伝えることを控えてしまう例もあるようですので、外部の連絡窓口が重要事項説明書に記載されていることは覚えておいた方が良いでしょう。

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また有料老人ホーム紹介センター事業者の中にも、私たち「ウィルホームコンサルプラザ」のように、入居後のアフターサービスの一環としてホームへの苦情や意見などの窓口として受け付けているところがあります。

入居先検討から関わり、見学などにも同行していれば、初めて電話する区役所の介護保険課や国保連に連絡するよりは話もしやすいのではないでしょうか。

前後編にわたって解説いたしました「サービスの内容」欄は以上です。次回は「入居者」欄についてみていきます。