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ウィルホームコンサルプラザのブログ

2021.05.20

「他所も見て決めたほうが良い」という言葉の意味

今回は見学先のホームでよく聞かれる「ウチだけじゃなく他所もしっかり見学してからお決めになられた方が良いと思いますよ」という言葉について考えてみたいと思います。

 

営業は「スマート」が主流

営業といえばどんな業種でもモノやサービスなど自社の商品を売ってくるのが仕事ですから、「ガツガツ来る」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、少なくとも有料老人ホーム業界についていえば近年はスマートな営業が主流となっています。今回取り上げた「他所も見て…」というのもその流れで最近よく聞くようになりました。

早く決めないと部屋が埋まってしまう…と結論を急かしたり、期間限定のキャンペーンで「今なら○○万円相当の家具/家電品もお付けします!」といった手法もなくなってしまったわけではないのですが、以前に比べるとずいぶん少なくなったように思います。

また「ホームで出来ること/出来ないこと」についての説明も、かなり時間をかけて丁寧にされるところが多くなりました。

 

背景(1)ガツガツは受けない

有料老人ホームの入居相談員(=営業)も「平成生まれ」が増えています。彼らは自分たちが消費者となるときも、ガツガツと来られることを好みません。何か物を買うときも店員に付きまとわれるのを鬱陶しいと感じ、店舗でいちいち値引き交渉などせず、比較サイトで最安値を事前に調べてスマートに購入してきた世代ですね。なので自分が営業する側に回ったときも、昭和生まれの上司から「ガツガツ売って来い」と言われたところで体質的に受け付けないわけです。

 

背景(2)短期解約特例

有料老人ホームでは2012年から前払金(入居金/入居一時金)プランで入居した場合も、入居日から起算して90日以内の退去であれば前払金は全額返還する法律が定められました。短期解約特例と呼ばれているものですが、いわば「90日間のクーリングオフ」が老人福祉法という法律で定められているということです。

無理に入居を進めたところで、90日以内の退去となってしまえばホームにとって意味がありません。ましてや必要となる手続きや説明すべき箇所を端折って、あるいは隠して入居の話を強引に進めてしまい、「聞いていなかった!」と短期で解約されるようなことになれば意味がないどころかむしろマイナスでしかありません。

 

背景(3)現場職による見学対応増

入居相談員という営業の専門職を置かず、または規模を縮小して、施設長や生活相談員など現場職が主として見学に対応するホームが増えています。

実際に現場でしかるべき職に就いた方が見学案内、説明をすることで見学に来られた相談者にとってもリアルな話が聞ける利点があり、ホーム運営会社側にとっても人件費や移動の交通費を削減することができます。

ただ施設長にしても生活相談員にしても、現場で業務に従事する職員にとって「入居者を1名増やす」ことは本来の仕事ではありません。施設長はホームを円滑に運営する管理者としての職務によって評価されているはずで、入居者を1人増やしたことで本来の業務負担が増大してしまえば、仮に1件いくらの報奨金が出ていたとしても「割に合わない」と考えても不思議ではありませんね。

 

背景(4)現場の発言力増

加えて現場側の発言力が営業よりも強くなっていることも挙げられます。以前は「営業が足で稼いで」「本社が膨大な広告費をかけて」得た入居希望者を現場が受け入れ拒否するなど…という空気が勝っていたのが、今は逆転しているように思います。認知症の周辺症状が強く出ている方など、現場職にとって負担が大きくなる可能性の高い方は申し込みをしても入居審査でNG回答となるケースが以前より多くなっています。

一人の入居者を得ても、そのご入居によって現場の職員が離職によって一人二人と失われてしまえばホームにとってはより大きな痛手となる可能性があるということです。

 

「他所も見てから」の真意がどこにあるか

「他所も見てから」という言葉の裏側には上記のような背景があります。受け手側の私たちはその真意がどこにあるのかを探らなくてはなりません。

以前、有料老人ホームの見学にご一緒した後、ご自宅までお送りする車中での話ですが、ご家族様から「ウチの父親は今のホームからあまり歓迎されていないのでしょうか」と心配顔で聞かれたことがありました。

館内の見学では入居相談員さんから丁寧に対応いただき、身体状況に合ったフロアに空室もあり、費用についても事前に私から説明させていただいた通りの内容で予算的にも問題がなく、私自身も見学に同行してあらためて好印象を持ったので、驚いてなぜそう思われたのかを伺ったところ、帰り際に入居相談員さんが発した「他所も見てから」でそう感じたとのことでした。

この例ではあくまでも純粋に入居相談員さんのスマートな営業スタイルから発せられた言葉でしたし、「営業はガツガツ来るものだ」と思っていたご家族様の勘違いもあってのことでしたので、結果無事そのホームにご入居となられましたが、「なるほど、このセリフをそう受け止められる方もおられるのか」と驚いた覚えがあります。

一方、別のご相談案件で、現場の施設長さんから同じく帰り際に言われた「他所も見てから」の中には、あまり歓迎されていないようだな…と私自身も感じた「他所も見てから」も数は少ないながらもありました。

 

まとめ

以上、「他所も見てから」という言葉について考えてみました。基本的にこの言葉には他意がない場合がほとんどです。スマート志向がより強くなった世代が社会の中心に出てきたこと、また入居相談員さんによっては「他所と比べてもウチをお選びいただける自信がある」という意味も含めて発せられている言葉だと思います。

そしてこのことは相談者にとっても良い傾向だと思います。入居を必要以上に急かされることなく、「出来ること/出来ないこと」についても丁寧な説明が受けられ、他所との比較もこちらから伝える前に入居相談員さんの方から促されるわけですから。

注意点があるとすれば、見学時の対応が営業(=入居相談員)なのか、現場職員なのかによって「他所も見てから」のニュアンスが若干変わる場合があることを念頭に入れて見学すると良いことです。

「歓迎していない」わけではなくても、現場職による見学対応では慎重な言い回しになることがよくあります。「○○はやってもらえますか」と聞いたときに「原則は対応しておりますが」や「100%必ずさせていただきますとは申し上げられません」といった具合です。

入居相談員と違って施設長など現場職員は、目の前にいるご相談者がご入居された後も、自身の「職場」で頻繁に顔を合わせることになるためどうしても説明が慎重になりがちです。入居相談員が対応した別ホームでの見学で同じ質問をしたときに「大丈夫です、お任せください」言われたのに比べると「大丈夫かなあ」と思ってしまわれることがあるかもしれませんが、「100%ではありません」と「99.9%大丈夫です」のニュアンスの違いでしかないことも多いのです。

私たち「ウィルホームコンサルプラザ」では多くの見学同行実績によりこういった細かい(けれど大切な)視点もしっかりフォローしております。

残念ながらコロナ対策下の現在は、見学で入館できるのはご家族様のみで私たち紹介センター相談員の同席ができない運営会社さんもありますが、それでもできるだけ見学に同行させていただいているのは、こういった「マニュアルには決して載っていない」こともサポートできるからでもあります。

どうぞお気軽にウィルホームコンサルプラザまでお問い合わせください。緊急事態宣言期間中も下記フリーダイヤルでのお電話相談や事前予約制による対面式の面談も承っております。

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