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ウィルホームコンサルプラザのブログ

2023.11.02

「入居までのスピード」はどこまで評価すべきか問題

受入スピードアップ!がトレンドに

有料老人ホーム運営各社はいま、「入居(受入)までのスピード」をどこも競っています。「お急ぎの方、即入居も可能です、ご相談ください」とか「ご入居お申込みの翌日にお受入した実績もあります」など、そのスピードは特に近年、目立って加速しているように思います。

運営会社からすれば、受入にモタモタしていれば他社ホームにお客様を取られてしまう…ということですね。「受入まで2週間もかかるんですか…では中3日で受けてくれるという他所にお願いすることにします」などと言われてしまうと「もっと早く受け入れられないのか」とスピード化を進めたい意向はわからないでもありません。

 

紹介センターも「早い方が助かる」

 

私たち「老人ホーム紹介センター」側から見ても「3日で受けてもらえれば、4日目は(手が離れることで)別の案件に取り掛かることができる」=「月の成約件数を増やすことができる」ことから、運営会社にさらなるスピードアップを望む同業者がかなりたくさんおられるようです。でも、このスピード化、問題はないのでしょうか。

 

受入までの手順

 

高齢者ホームへの入居に際しては、

(1)入居申込書の提出
(2)健康診断書/診療情報提供書の提出
(3)ご本人様確認
(4)上記(3)までの手続により入居可否審査→ご入居

…と大まかにこのような流れで進んでいきます。
申込書の提出は入居者側が行うものですので、ホームとしては(2)と(3)を材料に「自分たちのホームで受け入れが可能な方かどうか」を判断するわけです。

病院に入院しておられる方なら、入院時や入院中のどこかのタイミングで取った健康診断書があれば新たに作成(概ね一週間から10日ほどかかります)する必要がないので、申込時に健康診断書を受け取って内容を確認し、その日のうちにご本人様の面談を院内で済ませ(お世話されている看護師さんなどからもヒアリングを行い)、ホームに持ち帰って「可」と判断できれば翌日からご入居…なんてこともできるというわけですね。
しかし現場でその方のお世話をする職員さんにとってみればどうでしょうか。

 

現場の混乱について不安はないか

 

明日からいきなり新しく入居者が入ってくる、一応どんな方なのかはざっと説明を受けたけれど入居直後は心身ともに落ち着かず不調を訴える方も多いのできちんとお世話できるか心配だ…というケースも多いのでは…と思うのです。

今週入居して来られる方がその方お一人であればまだともかく、明後日にもう一人、週明け早々にもう二人…と「入居のスピード化」によってどんどん新しい入居者が入ってくる…というような状況だと、現場もかなり混乱するのではないでしょうか。

 

(背景)病院案件は特にスピードが求められる

 

退院日が決まっていて延長ができない、かといってご家族が自宅で引き取ることは短期間であっても難しい…となると、退院期限日までに直接入居できるホームが「最優先」となります。

また施設数が爆発的に増えたことで病院の医療相談室も、運営会社を横断して幅広い情報を持つ、紹介センターを頼るところが多くなっています。一方「退院日」というお尻が決まっていることは(退院日までに確実に「結論が出る」という意味で)紹介センターも仕事がしやすいので、紹介をもらうために病院の医療相談室に日参していますから、両者の思惑は一致するわけです。

確かに退院日までに「行き場」を決めなくてはならない患者の次の「行き場」を短時間で探してくれる紹介センターは、病院にとっても患者やそのご家族にとっても「ありがたい存在」であることは事実なのです。

 

ウィルホームコンサルプラザはこう考える

 

とはいえ、短期間で慌てて入居先を決めるのは望ましいことではないと思います。そもそも「3日で入れるところを探して」ということは入居先を一か所に決め打ちしなくてはならないということじゃないですか。比較もしないでただ「空室があってすぐ入れてくれるから」と決めてしまうのは「終の住処」の決め方としてはあまりにも寂しいと思います。

病院側もいきなり「3日後に退院してください」ではなかったはずです。入院のときにその期間について、1か月とか3か月とかおおよその目途を伝えているでしょう。

医療相談室はいざとなれば3日で入れるところを紹介してくれる業者がいるからと安心されていたり、ご家族も病院から急いで探せと言われていないので「まあ一週間もあればなんとかなるだろう、ググればなんかいろいろ候補先も出てきたし」とスタートが遅れてしまう要因になっているのではないかと思います。

入院中の治療やリハビリが功を奏して、老人ホームに入らなくても良いくらい回復して家に帰ることができた…ならそれでも良し、ただ万が一退院時点で家に帰っての独居は難しい…となったときに慌てないでよいように「ホーム検討や見学は早めにしておきませんか、ホーム検討には時間がかかりますし、ホーム側も責任をもってお預かりするための判断にはしかるべき時間がかかるものです」と「啓蒙」(というと「上から目線」で大げさな印象を持たれるかもしれませんが)するのも私たちの役割なのでは…と思うのです。

ウィルホームコンサルプラザは、他の同業者と比べて病院からの案件が多くありませんが、お付き合いのある病院の医療相談室には上記の考え方を伝え、ご理解いただいていることでさほどバタバタせず、退院日までに余裕をもって見学・比較検討・入居ホームの選定が(まあ今のところは)できています。

ホームの見学もお仕事をされているご家族様だと土日しか動けないという方も多いですよね。ひと月といえば30日もありますが、実際に見学で動けるのは土日をフルで使っても8日しかないわけです。どうかホームのご検討にはかけるべき時間をかけ、端折ってはいけないところは端折らずにお進めいただきたいと思います。